『 生活できないCAは 兼業すればいい 』 に思うこと
- cabincrewproject
- 2021年3月31日
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ANAも JALも コロナ禍でCA の賃金が激減し、社内で一番、生活に困窮している職種になった。 理由は、CA の賃金は基本給が他職種と比べて低く、乗務手当が出来高払いだから。 CA の初任給は 地上の総合職と比べると、3~4万円 低く、50代に至っては15万円以上も低い。 JALでは客乗職の組合 (CCU) が何度も会社と交渉し、この冬の一時金が 0.5 ヶ月+10万円が支給された。 ANAでは、対策として 『兼業』 がOKにはなったが、それで生活すればいいという話は安易すぎる。 ANA のCA は、B737, B767, B777, B787, A320, A321, A380 の7機種、さらに同じ機種でも機内仕様が違うものもあり、
多種類にわたる知識が必要になる為、そのつど予習してからフライトしなくてはならない。 この為、フライト前の休日には 翌日の機種やポジション、サービス内容や海外のCIQ などを確認する。 その他、休日でも会社の業務変更などの通達やメールを見なくてはいけない。 まさにオンとオフのない仕事に追われる生活である。 フライトが少ない今も、久しぶりのフライトという特別な緊張が加わり、気は抜けない。 そこに他のアルバイトが入れば、果たしてCAの専門性が保てるのかと危惧する声は強い。 そもそもCAは サービスだけしている職種ではなく、保安要員という乗客の安全にかかわる仕事をしている。 機内で急病人が発生すれば救急看護を行い、火災が発生すれば消化活動をし、乗客同士のトラブルが発生すれば仲介役になる。
どの国のCAであっても、万が一の事故に備えた保安要員としての訓練を、年に一度 行うことが国際条約(ICAO)で義務付けられている。 このように 多岐にわたる知識を維持することが大変な中、「生活できないなら兼業を」 というのは安易ではないだろうか。 パイロットには、フライトがなくても生活できるよう、『乗務手当保障制度』がある。 しかし、 ANA-CA は 1996年に、JAL-CA は2011年に、その制度が廃止された。 『生活できないCA は 兼業すればいい』 との考え方で 保安要員としての専門性が低下することになれば、空の安全にも影響するのではないだろうか。

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