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日本航空123便墜落事故から40年     ~あらためて空の安全を誓う日に~

  • cabincrewproject
  • 8月10日
  • 読了時間: 4分

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1985年8月12日・・・あの日から40年の歳月が流れました。

亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族の思いを引き継ぎ、空の安全を願う日として心に刻みたいと思います。

そして、今の航空現場はどのような状況なのか、安全は保たれているのか、パイロット、客室乗務員、航空整備士、グランドハンドリングの職場実態について、考える機会にしたいと思います。


日本における航空輸送実績は、コロナ禍の落ち込み以降、増加の一途を辿っており、今年も旅客数と貨物重量の両面で回復傾向にあり、特に国際線で顕著な伸びが見られます。国内線では、幹線・ローカル線ともに旅客数、貨物重量ともに増加しています。こうした状況を受け、コロナ禍で生産能力を落とした後、十分な航空労働者の補充が行われず、各職場ともに「繁忙」を極めています。



<パイロット>


この職場では、増便に対するパイロットの補充が十分でなく、月間の飛行時間制限に近づく乗員が増え、疲労の蓄積を訴える乗員が増えています。さらに国際線では、各地で起きている「戦争」の影響もあり、平和時に利用されるルートが飛べず、迂回するルートを選ぶために特にヨーロッパ方面への飛行時間が長時間となって疲労を増大する要因になっています。


<客室乗務員>


2024年1月2日の羽田での事故の教訓から、客室乗務員の一義的な任務が『保安要員』であることが世間に明らかになりました。しかし、欧米はじめ多くの国で当たり前になっている『国家ライセンス』の資格が、日本の客室乗務員には付与されていません。

このため、総務省の職業分類ではサービス業とされ、その過酷な勤務実態と合わせ、未だに大量退職、大量採用を繰り返す職業となっています。

勤務実態はどうか。

国内線と国際線を続けて飛ぶ6日連続勤務(ANA)や、1日3便乗務が4日間続くパターン(JAL)、ロサンゼルスでの1泊3日のあと、わずか1日の休日で翌日マニラを往復するパターン(ZIPAIR)など、過酷な勤務実態が報告されています。

空中での勤務は、低酸素、低気圧、低湿度の環境に加え、長時間、深夜・時差もあるシフト勤務で揺れや振動を伴う立ち仕事、それに感情労働も加わります。

にもかかわらず、国内線と近距離国際線では休憩時間の設定がなく、10時間を超える勤務でも休憩はほとんど取れません。

また、欧米では当たり前にある『病気有給休暇』(Sick Leave)や、『勤務の交換制度』等はなく、一方で、職場のストレスのもととなっている『評価賃金制度』があり、厳しい管理体制のもと、なかなかものが言えない環境になっています。

こうした状況により、客室乗務員の職場は退職者や病欠者があとを絶たない状況です。

私たちは、日本の客室乗務員にも国家ライセンスの付与を求め、人間らしく長く働き続けられるEU並みの働き方を求めていきます。


<航空整備士>


日航123便事故は、航空機構造整備の問題が日本ではじめて本格的に取り沙汰された事故でした。たとえ、フェールセーフ構造であっても、検査員(整備士)の高いレベルの亀裂発見能力が最終砦であることは、40年前も現在も変わりありません。

しかし、国交省から「24年10月全日空不適切な整備」、「25年6月全日空を含むANAHD4社航空法に基づく届出、認可の不備」について、厳重注意が連続したことは危機的と言えます。このような背景のひとつには、同ライン整備部門の飛行間点検がなくなり、昼間帯の運航間の整備機会が減り、夜間中心の整備作業に大きくシフトしたことに加え、長時間勤務、夜勤、シフト勤務による集中力不足や整備体制の問題があると言えます。

整備士の技術水準を維持し、高めるためには、ゆとりを持って検査等に従事できる環境を保証する必要があります。


<グランドハンドリング>


以前から人手不足が課題とされているグランドハンドリングの職場では、人員的にはコロナ前の水準に戻りつつあるものの需要の拡大には追い付いていない現状です。退職と採用の繰り返しで採用後3年未満の社員が3割を占め、育成が課題となっている中、不安全事象や車両事故が増えています。また、近年の酷暑によりランプエリアは50℃以上になる中、屋外作業者の職場で連続作業が行われていたり、休憩が取りにくいなど健康への不安も出されています。



このように、各職場とも「安全への脅威(スレッド)」が増えつつあります。今後、悲惨な大事故が起きる前にその予兆を掴める職場からの「情報」を積極的に収集し対策を立てる必要が迫っていると考えます。

 
 
 

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